いつものユニクロ、売上の主役はどこ?海外比率から読むファーストリテイリング
今回分析するIR:ファーストリテイリングの2026年8月期通期決算。対象期間は2025年9月1日〜2026年8月31日、公表日は2026年10月8日です。月次の例には2026年9月分(10月2日公表)を使います。記事日と決算の対象期は異なります。
ユニクロの服を見て、思い浮かべるのは近所のお店でしょうか。それとも旅先で見た赤い看板でしょうか。身近なブランドでも、決算を開くと見える景色が変わります。
ファーストリテイリング(東証・9983)の売上を、まず国内と海外に分けてみましょう。「海外が約7割」と「約6割」は、どちらも計算できます。数字の食い違いではなく、何を全体とするかの違いです。今日はこの小さな謎を入口に、企業を見る練習をします。

国内と海外、どちらが大きい?
2026年8月期のユニクロ事業の売上収益は、国内が1兆848億円、海外が2兆4,111億円。海外は国内の約2.2倍です。下の図は、同じ目盛りで売上の大きさを比べたもの。店舗数や株価のチャートではありません。
海外の棒、思ったより長い!身近なお店から、会社全体の地図が広がるね。
ただし、会社全体にはユニクロ以外の事業もあります。写真の青い看板のGUもその一つ。「ユニクロの決算」と略すときほど、どこまで含む数字なのかを確かめたいところです。
| 見る範囲 | 売上収益 | 前期比 |
|---|---|---|
| 国内ユニクロ | 10,848億円 | +5.7% |
| 海外ユニクロ | 24,111億円 | +26.2% |
| GU | 3,367億円 | +1.8% |
| グループ全体 | 39,633億円 | +16.6% |
出典:2026年8月期 決算サマリー(公式PDF、1ページ)。前期は2024年9月〜2025年8月。表は主要な範囲を抜粋したもので、行の単純合計はしません。グループ全体には上記以外の事業・調整も含まれます。
7割と6割、分母のクイズ
ここで問題です。「海外ユニクロは売上の何割?」と聞かれたら、何を分母にしますか。国内と海外のユニクロを足すと3兆4,959億円。海外2兆4,111億円をこれで割ると約69.0%です。一方、グループ全体3兆9,633億円で割れば約60.8%になります。
どちらも海外ユニクロの売上を使った比率ですが、答えている問いが違います。前者は「ユニクロ事業の中で海外はどれほど?」。後者は「会社全体の中で海外ユニクロはどれほど?」です。割合だけをメモすると、この違いが消えてしまいます。
手帳に書くなら「海外69%」よりも「ユニクロ売上のうち海外が約69%」まで。このひと言があると、別の企業や別の年と比べるときも迷いにくくなります。いずれも公表された億円単位の実績から当サイトが計算した概算で、会社公表の構成比ではありません。
同じ数字でも、何を100%にするかで答えが変わるんだね。分母も一緒にメモしよう。

月次の「110.8%」を読む
通期決算の次に目に入りやすいのが、国内ユニクロの月次データです。2026年9月の「既存店+Eコマース」の売上高は前年比110.8%でした。これは110.8%増ではなく、前年の100に対して110.8、つまり10.8%増という意味です。
ここでも範囲が大切です。月次の対象は国内ユニクロの直営店で、フランチャイズ店を含みません。既存店には通年稼働の条件があり、注記には臨時休業店舗の除外もあります。「既存店+Eコマース」と「直営店+Eコマース」は、同じ欄ではありません。海外やGUを含むグループ全体の成長率として読むのは避けましょう。
もう一つ、売上の変化は客数と客単価に分けて眺められます。同月の既存店+Eコマースは、客数が前年比99.5%、客単価が111.3%でした。「売上が伸びたから、来店する人数も同じだけ増えたはず」とは限らないのです。客単価も価格だけで決まるとは限らず、買った点数や商品の組み合わせが違えば変わります。
出典:公式・国内ユニクロ売上情報(2026年10月2日更新、9月分)。通期決算とは対象期間が異なる速報です。数値・対象店舗の注記は資料確認日時点のものです。
次に確かめたい3つのこと
一つ目は海外のどこで伸びたか。海外を一つの箱にすると、地域ごとの需要や競争の違いが見えにくくなります。公式決算には地域別の説明があるので、「海外が好調」で止めずに読んでみると発見があります。
二つ目は円換算と現地通貨の違い。例えば1億ドルの売上は、1ドル140円なら140億円、150円なら150億円になります。これは仕組みを説明する仮例で、同社の実績や為替予想ではありません。円の売上が増えていても、販売数量が同じ勢いで増えたとは限らない、という見方です。
三つ目は売上の次に、利益と在庫を読むこと。衣料品は季節や天候、値引き、仕入れの影響も受けます。売上の伸びだけで採算まで判断せず、利益率や在庫の動きと合わせて確認したいですね。事業の成長と、今の株価で投資して報われるかどうかも別の問いです。
次にお店の看板を見たら、「この売上はどの箱かな?」と考えてみたいね。
次に決算記事で「海外比率○%」を見つけたら、分母は何か、自分なら一言で説明できるでしょうか。身近なお店から始めて、数字の範囲までたどる。その習慣が、企業研究を少し面白くしてくれます。
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本記事は公式資料を使った企業分析・学習用です。特定銘柄の購入推奨や将来の値上がりを保証するものではありません。保有・売買実績の報告ではありません。